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パンサー入りから一夜明けた昨日の昼過ぎに 『オーイ、キヨ!ヨーム コンジップン マー』と呼ぶ声が聞こえたので下りてみると、薄汚れたヨレヨレの水色のTシャツと半ズボン姿で、右手に飲み水のボトルと汗ふき手拭いらしきものが入った、透明のビニール袋をぶらさげた、見るからにパットしない寂しそうな顔した中年日本人男性が、チョット恥ずかしそうな、遠慮勝ちな顔して僧房の前にボソッと立っていた。 『俺、藤川やけど、あんた日本人か』 『ハイ、神戸から来ました』 『なんでここに俺が居るって判ったんヤ』 『ハイ、カオサンの古本屋で、藤川さんの本を見つけて300バーツで買って、この人に自分の話を聞いてもらいたい、と思い道を尋ね・尋ね来ました・・・・・私、今年42歳で妻と3歳と1歳の子供の家族持ちで、神戸のホテルに勤めています』 『タイには何日くらいの滞在予定や』 『ハイ、一応一ケ月の予定で、8月2日の帰りの関空行きチケットを持っています』 『偉い嫁はんやナ~!子供が二人も居るのに一ケ月も一人旅を許してくれるなんて』 『実は“私、欝で仕事場に居るのも辛くって”と言って“仕事を休んで家に居るのもモット辛くって”居場所がなくなり、会社にも妻にも告げずに逃げ出して来たのです』 『それやったら家出やんけ!失踪やんけ!会社はともかく嫁はん心配しとるで。タイに来てるって嫁はんに一回くらい電話したケ!』 『いやまだ一度もかけていません』 『お前よっぽど苦しいのやろうな!俺のように無責任で、自分の好き勝手に生きてる男でも苦しいことが一杯あるのやさかいナ。ブッタは“生きることは苦しみである。この世は苦しみに満ちている”って、そして苦しみからの克服の道を説かれているのや。そうやさかい“仏教”と言うのは、死んだ人や死後のための教えではなく、今を現に生きる我々凡夫のために、ブッタが説かれた人生の指針・道標やねん・・・・』と、またいつもの藤川節で、相手が聞こうが聞くまいが我感知せずと勝手にベラベラと・・・・・・・ 『お前は、イタってまじめそうで、融通の利かない堅物で、自分にも他人にも完全を求める性格の人間に見えるけど、この世に完璧・完全なものなんて何もないのや。無責任な生き方をしろとはよう言わんけど、もっと肩の荷おろして気楽に生きろヤ。周りの人がなにを言おうと“ナンボのもんやお前らが俺と家族を一生食わしてくれる訳でなし、俺の人生を保障してくれるわけでもなし、俺は俺の正しいと信じる道をただ黙々と自分に忠実に生きるだけや”と開き直って生きろヤ。仏教では“諸行無常”を説いてるけど、これは“この宇宙に生じたものはすべて変化し流れ、やがては消え去り滅する”と言うことや、喜びも悲しみも苦しみも楽しみも、すべてはいずれ消え去る、今のお前が抱え込んでいる苦しみも、やがては必ず消え去ると言うことや。自分の命はむろんのこと、若さ、健康、名誉、財産、子供にしてもいつか自分の手から離れていく、自分の思いとおりになるものはなにもない、つまり何も“自分のもの”にすることは出来ないのだ』 『しゃけんど子供はお前が守ったらなアカンぞ。嫁はんはお前が好きで一緒になったんやからエエけど、子供は親を選んで生まれてくることはできないのヤ、お前の子としてこの世に生を受けたのもなんかの縁や、子供を一人前の人間として育てる人の親としての責任がお前にはあるんや。子供が20歳になって一人で生きて行けるようになるまでは、苦しくっても逃げ出さないで踏みとどまって頑張れヤ。俺だって“もう嫌だ!やめた!”て逃げ出したいことはナンボでもある。それでも歯を食いしばって耐えてるときもある。どこへ逃げ出しても、どこに行っても、どこに隠れても、同じような問題が追いかけてくる。特に人間関係のわずらわしさは!・・・・』 夢中になって一人でベラベラ喋りまくって、フト俺の前で正座している奴の顔を見ると、目を真っ赤にしてぼろぼろと大粒の涙を流している。 『8月2日までバンコクに居るのやったら、今日は一度ホテルへ帰って、俺の言ったことを良く考えなおして、それで気が向いたらいつでもまた遊びに来いや。』 『来させてもらって良いですか?』 『オー遠慮することは何もあらへん。俺が相手で良かったらいつでも来いよ!パンサー期間中でなかったら部屋が空いているので泊めたるけど、今はパンサーが始まったばかりで比丘が大勢居て空き部屋がなく泊められへんのや。日本に帰っても、嫌なことが起こってムシャクシャして逃げ出しとうなったら、いつでも奥さんにタイのお寺に行ってくると了解を貰って来い。観光ビザを取って来たら最大限3ケ月はタイに居られるから、その間は寺で寝泊りして比丘と同じような生活をして、自分を見直しユックリ考え鋭気を養いに来い』 『そやそや!今日ホテルに戻ったら一番に嫁はんに“黙って家を出て来てしまって申し訳ない。許してくれ!今バンコクに居る元気やから心配するな!8月2日の飛行機で帰るからどうか元気で待っていてくれ、子供のこと頼むぞ!お願いします”て、電話したれや。電話しなかったらもうここへは来るな。電話して嫁はんに謝ったら日本に帰るまで毎日でも来いや。日本に帰っても、なんかあったらいつでもメールして来いや、人間というのは、苦しいことや悲しいこと悩みは、口に出して誰か人に聴いて貰うだけで60%は解消するものや。俺で良かったらいつでも聴くぜ、俺には何の力もないけれど、話しを聞いて一緒に悩んだり泣いたり笑ったりは出来る』と、肩を叩いて送り出すと 『ありがとうございます。心が軽くなりました』と、恥ずかしそうに、そして嬉しそうに来たときよりにこやかな笑顔で帰っていった。 合掌 藤川チンナワンソ清弘 オモロイ坊主を囲む会の ホームページ www.omoroibouzu.com 人生問答が人気の、無料メルマガ オモロイ坊主こと藤川 チンナワンソ 和尚のヴィパッサナー瞑想指導動画はこちらから 人気blogランキングへ
by omoroibouzu
| 2006-07-13 21:13
| タイの田舎寺への訪問者
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